前向け思考力。
平々凡々の女子高生と平々凡々の中坊の息子の平々凡々の母の不定期日記です。
卒業式。
小学校への最後の登校は、
一人でした。
いつもは集団登校で、
8人もの子分をつれて、
賑やかに登校してきましたが、
呼びかけの練習があるとかで、
在校生より早く登校しました。
何を思っているのか。
大きくなったな~。
その一言につきます。
困ったなと思ったことも沢山ありました。
まだまだ、心配なことも多々あります。
どんな大人になるのかな。
私よりあたま一つ分背は低いけど、
次の3年間の間にはきっと、
私よりも背が高くなってる。
小学生の保護者もこれで卒業です。
先生達の合唱
「いつまでも君のこと遠くからみおくるよ、
走ることに疲れたら休んでもいいんだよ、
休むことに疲れたら走りたくなるから。」
詳しい歌詞は覚えていないけど、
子供達と私達に歌ってくれたように思いました。
ケーキは通学班の子とそのお母さんから、
手作りをいただきました。
通算10年、なごり惜しいですが小学生のママ卒業です。
歳をとるってすばらしい。
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扇の的。
家庭教師なんて仕事をしていますが、
オールマイティではなく、
とくに社会(歴史)と国語は、
家族に協力を願う事が多々あります。
先日、定期テストの見直しをしていたところ、
古文の定番、平家物語のなかの扇の的、
さらにてっぱん問題の、伊勢三郎義盛が与一に言った、
「御定め」とは、誰が誰に対してのお定めだったか、
という問題。
何年か前に同じ問題を、また25年前にも、
自分がこんな問題に当たったことが記憶にあります。
それでも、はっきりしない回答を教えるわけにはいかず、
自宅に持ち帰って、旦那さんと、
これまた最近すごく頼りになる高校生のお姉ちゃんに聞いてみました。
正解は源氏の大将義経が全源氏民に下した命令。
旦那さんと女子高生による解釈は以下のとおり。
源氏は平家を追い詰めたものの、
陸軍派の源氏は、水軍派の平家が沖に逃げるのを、
手をこまねいてみていたところ、
平家方のおてんばな一人の女性が、
(この女性は平家の中でも気が強くて有名だったとか。)
「や~い、ここまで届くもんなら討ってみ~、
べーろべーろべー。」
とばかりに扇の的を棒の先につけて掲げたところ、
意外にいとも簡単に矢の名士与一が射落としてしまった。
あっけにとられて両者とも見ていたが、
その絵画的美しさに感動した平家の重鎮が、
「今のよかったわ~」
と感動して踊り出てきたところを、
源氏方の義盛が与一に、
「大将の命令や。今がチャンスやで。」
とささやいたところ、はっと我に返った与一が、
ひょうふっとこれまたいとも簡単にその平家の重鎮を射止めてしまった。
よくやったという者もいたが、
それはあかんやろと言った者もいた。
てなかんじです。
とてもわかりやすく砕けた解釈で、とても助かりました。
もちろん生徒にはもう少し修正して説明しました。
オールマイティではなく、
とくに社会(歴史)と国語は、
家族に協力を願う事が多々あります。
先日、定期テストの見直しをしていたところ、
古文の定番、平家物語のなかの扇の的、
さらにてっぱん問題の、伊勢三郎義盛が与一に言った、
「御定め」とは、誰が誰に対してのお定めだったか、
という問題。
何年か前に同じ問題を、また25年前にも、
自分がこんな問題に当たったことが記憶にあります。
それでも、はっきりしない回答を教えるわけにはいかず、
自宅に持ち帰って、旦那さんと、
これまた最近すごく頼りになる高校生のお姉ちゃんに聞いてみました。
正解は源氏の大将義経が全源氏民に下した命令。
旦那さんと女子高生による解釈は以下のとおり。
源氏は平家を追い詰めたものの、
陸軍派の源氏は、水軍派の平家が沖に逃げるのを、
手をこまねいてみていたところ、
平家方のおてんばな一人の女性が、
(この女性は平家の中でも気が強くて有名だったとか。)
「や~い、ここまで届くもんなら討ってみ~、
べーろべーろべー。」
とばかりに扇の的を棒の先につけて掲げたところ、
意外にいとも簡単に矢の名士与一が射落としてしまった。
あっけにとられて両者とも見ていたが、
その絵画的美しさに感動した平家の重鎮が、
「今のよかったわ~」
と感動して踊り出てきたところを、
源氏方の義盛が与一に、
「大将の命令や。今がチャンスやで。」
とささやいたところ、はっと我に返った与一が、
ひょうふっとこれまたいとも簡単にその平家の重鎮を射止めてしまった。
よくやったという者もいたが、
それはあかんやろと言った者もいた。
てなかんじです。
とてもわかりやすく砕けた解釈で、とても助かりました。
もちろん生徒にはもう少し修正して説明しました。
会長任期終了。
市のスポーツ少年団の陸上部の会長を勤めてきました。
1年なんてあっという間でした。
この1年、いろんな人と出会いました。
一期一会とはよく言ったもので、
一人一人との出会いを大事にして、
この人生を折り返したいと思います。
副会長を勤めてくれた、会社でも仲良しのHさんは、
「あなたのおかげだ。」
と最後まで私を上手に操縦してくれました。
庶務さんは、システムエンジニアで、
いつも完璧な書類を用意しながらも、
まいど会うたびにいろんなことを相談してくれて、
やっぱり私を立ててくれました。
会計さんは、銀行員で、
家計簿すらまともでない私に預けられた財布を、
しっかり管理してくれました。
22年度が始まったときに、
会計さんのお家で親睦会なんかをやったのですが、
彼女が「今年のメンバーはベストメンバーだ」
といってくれたのが、最後まで私の支えでした。
支え?・・・崩れそうな事があった? 答えはNo.
幼馴染や同級生がいない私には、
一気に交友が増えて、
本当に楽しい1年でした。
陸上の子は・・・、特に私が会長を勤めた団の子は、
人見知りが激しい子もいれば、
感情の起伏が激しい子も、
野球やサッカーをリタイヤしてきた子も、
人前で一声も出せなくなった子も、
家庭に事情があって親といっしょに住んでいない子も、
うちの子みたいにデブちゃんもいます。
大多数が苦手だったり、いろんな子がいます。
でも、みんな普通の子うちです。
たかが走ったり飛んだり投げたりじゃん。
なんの条件が必要?
ある子の記録がのびなかったら誰かに迷惑?
全然。
その子が昨日よりも強く、
昨日よりもいろんなことを考えられるようになったら、
それでいい。
次がんばればそれでいい。
お祭り騒ぎの好きそうな普段からの私に、
前年よりも親睦会(飲み会)が少なく、
納会でさえも練習の時間を利用した形をとったことに
不満の親さんもみえたかと思います。
そういうところに来ないと仲間にしない風潮が
飲み会の多いスポーツ少年団の育成会には多い。
そんなことにエネルギー使うんなら、子供といっしょに使おう、
とか、色々考えたり。
1年間そんな色の旗を振り続けました。
納会にはほとんどの親さんが集まりました。
どの人も私の大切な人です。
でも誰よりも、どの人よりも、
一番の協力してくれたのは息子です。
お母さんにすばらしい1年をありがとう。
1年なんてあっという間でした。
この1年、いろんな人と出会いました。
一期一会とはよく言ったもので、
一人一人との出会いを大事にして、
この人生を折り返したいと思います。
副会長を勤めてくれた、会社でも仲良しのHさんは、
「あなたのおかげだ。」
と最後まで私を上手に操縦してくれました。
庶務さんは、システムエンジニアで、
いつも完璧な書類を用意しながらも、
まいど会うたびにいろんなことを相談してくれて、
やっぱり私を立ててくれました。
会計さんは、銀行員で、
家計簿すらまともでない私に預けられた財布を、
しっかり管理してくれました。
22年度が始まったときに、
会計さんのお家で親睦会なんかをやったのですが、
彼女が「今年のメンバーはベストメンバーだ」
といってくれたのが、最後まで私の支えでした。
支え?・・・崩れそうな事があった? 答えはNo.
幼馴染や同級生がいない私には、
一気に交友が増えて、
本当に楽しい1年でした。
陸上の子は・・・、特に私が会長を勤めた団の子は、
人見知りが激しい子もいれば、
感情の起伏が激しい子も、
野球やサッカーをリタイヤしてきた子も、
人前で一声も出せなくなった子も、
家庭に事情があって親といっしょに住んでいない子も、
うちの子みたいにデブちゃんもいます。
大多数が苦手だったり、いろんな子がいます。
でも、みんな普通の子うちです。
たかが走ったり飛んだり投げたりじゃん。
なんの条件が必要?
ある子の記録がのびなかったら誰かに迷惑?
全然。
その子が昨日よりも強く、
昨日よりもいろんなことを考えられるようになったら、
それでいい。
次がんばればそれでいい。
お祭り騒ぎの好きそうな普段からの私に、
前年よりも親睦会(飲み会)が少なく、
納会でさえも練習の時間を利用した形をとったことに
不満の親さんもみえたかと思います。
そういうところに来ないと仲間にしない風潮が
飲み会の多いスポーツ少年団の育成会には多い。
そんなことにエネルギー使うんなら、子供といっしょに使おう、
とか、色々考えたり。
1年間そんな色の旗を振り続けました。
納会にはほとんどの親さんが集まりました。
どの人も私の大切な人です。
でも誰よりも、どの人よりも、
一番の協力してくれたのは息子です。
お母さんにすばらしい1年をありがとう。
お話をアップしました。
ずいぶん前に書き始めたお話を仕上げました。
競馬を知らないのに競馬ねたです。
「お母さんのあのロバの話結構好きやよ。」
という娘の言葉にのせられて仕上げました。
漢字の誤字があるかも。
周る?回る?廻る?
よくわからないままとりあえず。
公開するんだからちゃんと調べるべきかもしれないけど、
フル・パートタイマーの休日の自由はこれが限界。
まだまだ書きかけのお話はありますが、
とりあえず2作目です。
競馬を知らないのに競馬ねたです。
「お母さんのあのロバの話結構好きやよ。」
という娘の言葉にのせられて仕上げました。
漢字の誤字があるかも。
周る?回る?廻る?
よくわからないままとりあえず。
公開するんだからちゃんと調べるべきかもしれないけど、
フル・パートタイマーの休日の自由はこれが限界。
まだまだ書きかけのお話はありますが、
とりあえず2作目です。
サラくんの目。
僕にとっては、ほんの地方レースだった。
だからといって手を抜くような、
そんな失礼なレースを、僕が許すはずがなかった。
中央レースと同様、テンションはイツモノどおり、
背中に乗せるジョッキーも一流だった。当たり前だ。
僕はサラブレットだ。
胸を張り、ちょっと顎をあげて、鼻の穴をちょっと空け気味に、
軽く口を閉じ、誇らしげに、誇らしげに、僕はパドックを悠々と歩いた。
ジョッキーは何も話しかけなかった。 わかってる。
観客たちは、僕を見ている。 わかってる。 わかってる。
高らかにファンファーレが鳴った。
スタートの位置に着いた。
ぼくはサラブレッドだからスタートゲートは真々中。
ジョッキーは何も言わなかった。 わかってる。
でもジョッキーの声が聞こえる。 わかってる。 わかってる。
一瞬の静寂の後、レースは始まった。
レースは順調のはずだった。
これくらいの草レース、常にトップを走るはずだった。
でも、さっきから、僕の視野に誰かが入っては消え、繰り返す。
鬱陶しい。
僕はジョッキーを信じているからどんなやつが一緒に走ってるか、
なんて全然気にしてない。
でも、さっきから、なんか、なんか、ウザい。 おっと。
そいつがまた僕の視野に入ってきた。
誰なんだ。
ひどい歩調だ。ドッタバッタって・・・。
調子が狂う。
丈夫そうな・・・短い足。
顔が大きくてバランスが悪い。
毛も濃いい。
おなかもボコンっと大きい。
「こいつ・・・。・・・。・・・。・・・。ロバだ。」
ありえない、ありえない、僕みたいなサラブレットといっしょにロバ。
信じられない。
バックストレートを過ぎて第3コーナーを曲がった。
コーナーに入る直前にロバは僕よりちょっと内側をまわったので、
ありえないことに僕はロバにリードされていた。僕は焦った。
でもコーナーを周りながらもっとすごい事に気が付いた。
キリンがいる。
シマウマがいる。
なんだか毛の長いのもいる。 ラマかアルパカか。
そいつらがグングン迫ってくる。
サラブレッドの僕。パッカパッカ。
ロバの奴、ドッタバッタ。
キリン、ヒョ~ロヒョロ。
シマウマ、・・・鏡見たことあるのか?
ラマだかアルパカだかは、ナンかモグモグしている。
ひときわ角のでかい奴がいるが、ジョッキーを背負ってない。
そのかわり真っ赤なコートを着た白いひげの爺さんを、
そりで引いている。
なんだこいつら。
第4コーナーを廻って正面ストレートに入った。
レースの成り行きを見つめながら声も出せずに涙している男がいたが、
そんなことはどうだっていい。
僕はサラブレットとしてトップに上がらなくちゃ。
父の代から知っている調教師も観ている。
僕のオーナーはガラス張りの席から葉巻をくわえて観ている。
トップに・・・。
2周目に入るとロバも僕もちょっとアゴが上がってきた。
ロバはますます息が乱れ始めよだれを撒き散らす。
僕も息を乱した。キラキラとした汗が散り、
鬣がサラサラと揺れた。
第2コーナーを廻ってまた視界にロバが入ってきた。
その息はハンスハンスと乱れてよだれがこっちに・・・。
僕は焦った。
そのロバだけじゃない。
キリンもシマウマもラマだかアルパカも赤い鼻のアイツも、
必死こいて追いかけてくる。
こんな見世物みたいなレースに僕は焦っている。
負けるわけにはいかない。僕はサラ。
第3コーナーを周ったときにはもう、なにがなんだか・・・。
背中のジョッキーの声も何も聞こえない。
観客は馬券を握りしめて僕を観てる。
ロバは内側を行ったのでまたリード。
正面ストレートに入ってゴールが見えてきた。
ゴールだけしか見えない。
ロバから何だかわからないしぶきが飛んでくる。
”汚ねえな”ナンテ余裕もない。
もしかしたら僕もひどい走りなのかもしれないし。
でもそんな事はどうでもいい。
”勝ちたい!僕はこのレースに勝ちたい!”
・・・・・
気が付いたらジョッキーが観客に手を振っていた。
調教師も、葉巻のオーナーもご機嫌そうだった。
”勝ったのか?”
ウィニングランをしながらさっきまでのレースの事を考えた。
僕はサラブレット。父も母もサラブレット。
僕はロバに負けるところだった。
こんなに必死になったのは生まれて初めてかもしれない。
走ることは好きだった。
勝って褒められるのも好きだ。
今日はどうしても勝ちたいと思って必死に走った。
こんな気持ちにさせてくれたのはこのレースを共に走った者にしかわからない。
このレースなら、来年もう一度やってやってもいい。
ありがとう。
ジョッキーに顔を撫でられて、僕は速度を落として徐々に停まった。
さっきのロバはどんな様子だろう。
サラブレットの僕にあそこまで果敢に攻めたんだから、
悔しそうにしているに違いない。
もう一度挑戦したいと思っているに違いない。
泣いてるかもしれない。
僕は場内を見回した。
赤いコートの白ひげの爺さんが大きな袋から何か出して子供に配っていた。
爺さんは僕にもリボンつきの箱を差し出した。
ロバは・・・。端っこのほうで泣いてるかもしれない。
ロバは・・・黄色いタンポポの傍で、なにかわからないけど、
もしゃもしゃ食べていた。
風船が一つ空に上がっていくのを見つけて、
ロバは口から今食べたものをこぼしながら顔をあげた。
その顔には描いてあった。
次はどんな楽しい事が待ってるのかな~っ。と。
だからといって手を抜くような、
そんな失礼なレースを、僕が許すはずがなかった。
中央レースと同様、テンションはイツモノどおり、
背中に乗せるジョッキーも一流だった。当たり前だ。
僕はサラブレットだ。
胸を張り、ちょっと顎をあげて、鼻の穴をちょっと空け気味に、
軽く口を閉じ、誇らしげに、誇らしげに、僕はパドックを悠々と歩いた。
ジョッキーは何も話しかけなかった。 わかってる。
観客たちは、僕を見ている。 わかってる。 わかってる。
高らかにファンファーレが鳴った。
スタートの位置に着いた。
ぼくはサラブレッドだからスタートゲートは真々中。
ジョッキーは何も言わなかった。 わかってる。
でもジョッキーの声が聞こえる。 わかってる。 わかってる。
一瞬の静寂の後、レースは始まった。
レースは順調のはずだった。
これくらいの草レース、常にトップを走るはずだった。
でも、さっきから、僕の視野に誰かが入っては消え、繰り返す。
鬱陶しい。
僕はジョッキーを信じているからどんなやつが一緒に走ってるか、
なんて全然気にしてない。
でも、さっきから、なんか、なんか、ウザい。 おっと。
そいつがまた僕の視野に入ってきた。
誰なんだ。
ひどい歩調だ。ドッタバッタって・・・。
調子が狂う。
丈夫そうな・・・短い足。
顔が大きくてバランスが悪い。
毛も濃いい。
おなかもボコンっと大きい。
「こいつ・・・。・・・。・・・。・・・。ロバだ。」
ありえない、ありえない、僕みたいなサラブレットといっしょにロバ。
信じられない。
バックストレートを過ぎて第3コーナーを曲がった。
コーナーに入る直前にロバは僕よりちょっと内側をまわったので、
ありえないことに僕はロバにリードされていた。僕は焦った。
でもコーナーを周りながらもっとすごい事に気が付いた。
キリンがいる。
シマウマがいる。
なんだか毛の長いのもいる。 ラマかアルパカか。
そいつらがグングン迫ってくる。
サラブレッドの僕。パッカパッカ。
ロバの奴、ドッタバッタ。
キリン、ヒョ~ロヒョロ。
シマウマ、・・・鏡見たことあるのか?
ラマだかアルパカだかは、ナンかモグモグしている。
ひときわ角のでかい奴がいるが、ジョッキーを背負ってない。
そのかわり真っ赤なコートを着た白いひげの爺さんを、
そりで引いている。
なんだこいつら。
第4コーナーを廻って正面ストレートに入った。
レースの成り行きを見つめながら声も出せずに涙している男がいたが、
そんなことはどうだっていい。
僕はサラブレットとしてトップに上がらなくちゃ。
父の代から知っている調教師も観ている。
僕のオーナーはガラス張りの席から葉巻をくわえて観ている。
トップに・・・。
2周目に入るとロバも僕もちょっとアゴが上がってきた。
ロバはますます息が乱れ始めよだれを撒き散らす。
僕も息を乱した。キラキラとした汗が散り、
鬣がサラサラと揺れた。
第2コーナーを廻ってまた視界にロバが入ってきた。
その息はハンスハンスと乱れてよだれがこっちに・・・。
僕は焦った。
そのロバだけじゃない。
キリンもシマウマもラマだかアルパカも赤い鼻のアイツも、
必死こいて追いかけてくる。
こんな見世物みたいなレースに僕は焦っている。
負けるわけにはいかない。僕はサラ。
第3コーナーを周ったときにはもう、なにがなんだか・・・。
背中のジョッキーの声も何も聞こえない。
観客は馬券を握りしめて僕を観てる。
ロバは内側を行ったのでまたリード。
正面ストレートに入ってゴールが見えてきた。
ゴールだけしか見えない。
ロバから何だかわからないしぶきが飛んでくる。
”汚ねえな”ナンテ余裕もない。
もしかしたら僕もひどい走りなのかもしれないし。
でもそんな事はどうでもいい。
”勝ちたい!僕はこのレースに勝ちたい!”
・・・・・
気が付いたらジョッキーが観客に手を振っていた。
調教師も、葉巻のオーナーもご機嫌そうだった。
”勝ったのか?”
ウィニングランをしながらさっきまでのレースの事を考えた。
僕はサラブレット。父も母もサラブレット。
僕はロバに負けるところだった。
こんなに必死になったのは生まれて初めてかもしれない。
走ることは好きだった。
勝って褒められるのも好きだ。
今日はどうしても勝ちたいと思って必死に走った。
こんな気持ちにさせてくれたのはこのレースを共に走った者にしかわからない。
このレースなら、来年もう一度やってやってもいい。
ありがとう。
ジョッキーに顔を撫でられて、僕は速度を落として徐々に停まった。
さっきのロバはどんな様子だろう。
サラブレットの僕にあそこまで果敢に攻めたんだから、
悔しそうにしているに違いない。
もう一度挑戦したいと思っているに違いない。
泣いてるかもしれない。
僕は場内を見回した。
赤いコートの白ひげの爺さんが大きな袋から何か出して子供に配っていた。
爺さんは僕にもリボンつきの箱を差し出した。
ロバは・・・。端っこのほうで泣いてるかもしれない。
ロバは・・・黄色いタンポポの傍で、なにかわからないけど、
もしゃもしゃ食べていた。
風船が一つ空に上がっていくのを見つけて、
ロバは口から今食べたものをこぼしながら顔をあげた。
その顔には描いてあった。
次はどんな楽しい事が待ってるのかな~っ。と。
プロフィール
HN:
ぶんちょう
性別:
女性
自己紹介: